バイクメンテをするならパーツクリーナーは持っておきたい。とは言ってもAmazonとかで調べてみると星の数ほど商品があるからどれを選べばいいかわからない。何も知らなかった頃の僕は安くて大容量のものを買い続けてきた。そうした結果、特に不満を感じたことがないからパーツクリーナーの選び方なんて知らなくてもいいのかもしれない。
ところがどっこい個人的には気になったので調べてみることにした。もし同志がいれば参考にしてほしい。
【結論】見るべき項目
前提として僕のパーツクリーナーの使用用途は、エンジンオイル交換時に工具やドレンボルトに付着したエンジンオイル汚れを落とすために使うことが多い。プラスチックもokとか付加価値があるものは不要と考える。プラスチックについた油を脱脂したいなら別のケミカルを使用すればよく、とにかく安く済ませたいという考え方が根底にある。
そんな僕が勉強してみた結果次の条件を満たしているパーツクリーナーが自分には適しているとわかった。
- 炭化水素系のパーツクリーナー(溶解力があり金属を腐食しない)
- 有機則適用外品が良い(屋内でも換気に気にせず使用可能)
- 速乾or中速乾
そして上記項目を満たすパーツクリーナーはAZ製のパーツクリーナーブルーという商品。僕はAmazonでしか探していないので、モノタロウやミスミで探せばもっとコスパの良いパーツクリーナーがあるかもしれない。ちなみにまとめ買い(20本や30本)すれば一本あたり\200といった格安品もある。僕は大量に在庫する気が無いしそもそもそんなに使いきれないから一本で買えてコスパの良いものを探した。
パーツクリーナーブルーは炭化水素系溶剤という表記がされていなかったから、念のためメーカーに問い合わせたら炭化水素を主成分としていると回答があったから安心。
余談だがパーツクリーナーブルーはスプレーノズルが折りたたみ式なので紛失の恐れがなくノズル装着時のお漏らしが無いのが非常に良い。
他の候補
次の2点はキャップが折りたたみ式になればアリ。それ以外はパーツクリーナーとほぼ差が無いと思われる。使ったことが無いから機会があれば使ってみる。
これ以降はパーツクリーナーを選定する上で調べたことを書く。
有機溶剤の種類
炭化水素系溶剤
- 金属を腐食しない
- 油類の溶解性が高い
- 安価なものが多い
- 引火点が低いものが多い(引火しやすいから火気厳禁)
炭化水素の中でも引火点が比較的高いものをピックアップした。
- エチルシクロヘキサン35℃
- キシレン32℃
- スチレンモノマー31℃
- ノルマルパラフィン119℃
- ミネラルスピリット43℃
- リニアアルキルベンゼン140℃
ノルマルパラフィンやリニアアルキルベンゼンなら引火しにくいという点で安全に使うことができそう。だが、これらを主成分としたパーツクリーナーがあるのだろうか。知っている人がいたら教えていただきたいです。
石油系溶剤
- 乾燥性に優れている
- 引火点が低い(引火しやすいから火気厳禁)
- 金属を腐食する可能性がある
1号(ベンジン)は精密機械の洗浄、4号(ミネラルスピリット)は機械洗浄に使用される。ということはパーツクリーナーに用いる場合はどちらかが主成分になっている可能性がある?
ベンジンは引火点が-40℃と低いから点火源があると危険。
ミネラルスピリットは引火点が約40℃以上とベンジンよりは高いものの夏場は直射日光に当たらないようにする等取り扱いに注意する必要がある。
ベンジンとミネラルスピリットは有機則の適用対象なので屋内で使用する際は取り扱い注意。
ベンジンは金属を腐食するから使いたくない。ミネラルスピリットは条件によっては金属を腐食する可能性があるらしいから使いたくない。
クリーニングで生地を傷めたくないウールのニットの洗剤として使われたりする。
記事UP前の見直しで気付いたこと
ミネラルスピリットは炭化水素系溶剤に分類されるかも?というかそもそも炭化水素は石油から精製されるから商品表記が石油系溶剤であっても主成分は炭化水素である可能性がある?
今まで使ったことのあるパーツクリーナーとその成分
モクケン テラパーツ&ブレーキクリーナー
- イソヘキサン50~60%(炭化水素)
- エタノール5.0~15%(アルコール)
- 二酸化炭素1.0%未満(噴射剤)
- LPG残部(噴射剤)
AZ パーツクリーナーブルー
- 石油系溶剤
- LPG(噴射剤)
KURE パーツクリーナー1422
- シクロヘキサン40~60%(炭化水素)
- イソヘキサン10~30%(炭化水素)
- エタノール10~30%(アルコール)
- プロパン10~30%(噴射剤)
- ブタン1.0%未満(噴射剤)
- 二酸化炭素1.0%未満(噴射剤)
※LPGはプロパンとブタンを主成分とした噴射剤
噴射剤の使い分け

噴射剤として用いられている成分は2種類に分類されており、液化ガス(LPG、DME)と圧縮ガス(窒素、二酸化炭素)がある。
LPGがあらゆるスプレー缶の代表的な噴射剤として用いられており約70%を占めているらしい。ちなみにLPG(液化石油ガス)はプロパンガスのことでガスコンロに使われるあのガスのこと。これを知るとスプレー缶を暑い場所に保管するなという意味がよくわかった。
DME(ジメチルエーテル)は環境負荷が極めて小さいとのこと。LPGではなくこちらを採用することで「弊社は環境に配慮していますよ!」と企業アピールするために使われるのかな?知らんけど。
圧縮ガスは地球環境に優しいらしい。
エタノール(水も油にも溶けやすい)

- 蒸発しやすい(揮発性)
- 水にも油にも溶けやすい
- 脱脂力は弱いが水溶性の汚れをよく落とす
- 引火点が約13℃と低いから危険
有機則と特化則

有機則(有機溶剤中毒予防規則)とはかなり乱暴に簡単にまとめると「有機溶剤の中でも危険なものが44種類あるよ。それらを使う時はしっかり換気してね。」というもの。僕は風通しの良い屋外でしかパーツクリーナーを使わないから問題ない。そもそも、バイク用パーツクリーナーで検索してヒットするものはほとんどが有機則適用外なのであまり気にする必要がない。
特化則(特定化学物質障害予防規則)は有機則の強化版みたいなもので、もっと危険なものといった感覚。バイク用パーツクリーナーのほとんどが炭化水素系でありそのため特化則に適用されるものもほぼない。※炭化水素系物質の特化則適用物質を全て調べていないので絶対とは言い切れない。
パーツクリーナーの商品説明に有機則適用外と記載されていれば、それは石油系溶剤ではない(ベンジンとミネラルスピリットを使っていない)と考えられる。なぜならベンジンとミネラルスピリットは有機則適用対象だから。
引用:有機溶剤とは?わかりやすく解説しますhttps://www.sankyo-chem.com/news/post-321
パーツクリーナーはゴム・樹脂・プラスチックに使用不可

ゴムや樹脂になぜパーツクリーナーを使ったらダメなのか。それはゴム、樹脂、プラスチック、パーツクリーナーの原料は石油だから。これは僕が理解しやすくするためにかなり嚙み砕いているだけで正確には違うと思われるから注意。
これを理解するための前提知識として水性の汚れは水溶性のもので落とし、油性の汚れは油溶性もので落とすということを知る必要がある。目には目を歯には歯を理論で水には水を、油には油を用いて汚れを落とす。例を挙げるとエンジンオイル交換でちょっとこぼれたオイルをシャワーホースで洗い流そうとしてもなかなか綺麗にならないことがある。これは油汚れを水溶性で落とそうとしているから。
この前提知識があれば石油を含んだ物質でできているゴム等に対して油溶性のパーツクリーナーを使うと変形したりするよねといった話。
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